遺産分割の基礎知識と円滑な手続きを進めるための4つのポイント

遺産分割の基礎知識

遺産分割は、被相続人の残した財産を相続人たちがどのように分けるのかを話し合い、決定する重要な手続きです。遺言書の有無や相続人の状況によって方法が異なるため、円滑に進めるためには事前に知識を身につけておくことが大切です。

この記事を書いた専門家
税理士 森 大輔

森大輔税理士事務所 代表税理士。FP2級。
相続専門税理士として、相続税申告400件超、相続対策100件超の圧倒的実績を持つ。豊富な経験から相続税を知らないことで損をする人を救うために終活支援やセミナー活動にも注力。東京税理士会所属。

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遺産分割の基本

遺産分割とは?

遺産分割とは、被相続人の財産をどのように分けるのかを相続人全員で話し合い、決定する手続きです。相続人とは、法律で財産を継承する権利を持つ者を指します。簡単に言うと、財産を受け取ることができる人のことです。

遺産には、預貯金、不動産、貴金属、車、骨董品など様々な種類のものがあります。これらの遺産を、誰がどのくらい取得するのかを話し合いによって決める必要があります。

遺産分割の必要性

遺産分割は、被相続人の意思に基づいて財産を分配し、相続人間で公平性を保つために必要です。また、遺産分割を完了することで、名義変更などの後の手続きもスムーズに進めることができます。

遺言書の有無で方法が異なる

遺産分割の方法は、被相続人が遺言書を残しているかどうかで大きく異なります。

遺言書がある場合

遺言書がある場合、原則として遺言書の内容に従って遺産を分割します。遺言書には財産の分け方が具体的に記載されているため、相続人間で協議する必要はありません。ただし、遺言書の記載内容に従うと遺留分(最低限の相続分)を侵害してしまう場合は、遺留分侵害額の請求ができます。

遺言書がない場合

一方、遺言書がない場合は相続人全員による遺産分割協議を行い、誰がどの遺産を取得するかを決めます。協議でまとまらなければ家庭裁判所に調停や審判を申し立てる必要があります。

4つの遺産分割方法

遺産分割の具体的な方法には以下の4種類があります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、遺産の種類や相続人の状況に応じて適切な方法を選びます。

現物分割

物理的に分割可能な遺産を相続人間で分ける方法です。

例:預貯金を相続人へ分配する。株式を銘柄ごとに相続人へ分配する。

代償分割

特定の相続人が遺産の全てを取得し、他の相続人に金銭で精算する方法です。

例:長男が家を相続し、他の兄弟姉妹に現金で支払う。

換価分割

不動産や株式などを売却し、売却代金を相続人間で分ける方法です。

例:所有していた骨董品をオークションで売却し、売却代金を相続人間で分配する。

共有分割

複数の相続人で遺産を共有する方法です。

例:不動産を共有名義で所有する。

遺産分割の手続き

ステップを示す男性

遺産分割の手続きは以下の通りです。

遺言書の確認

最初に行うべき手続きは、亡くなった人が遺言書を残しているかどうかを確認することです。

遺言書がある場合は、その内容に従って遺産分割が行われます。

相続人の確定

次に、相続人を確定させる必要があります。

これには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や親族関係などの証拠を集めて相続人を特定する作業が含まれます。

遺産の把握

相続財産を正確に把握するために、財産目録の作成が必要です。

これには、土地、建物、預貯金、有価証券、貴金属、車両、家財道具など、すべての財産を一覧にする作業が含まれます。いわゆる財産目録の作成です。

遺産の評価

相続財産の価値を評価する必要があります。

これには、不動産や有価証券の査定、預貯金の残高確認、その他の財産の評価などが含まれます。

遺産分割協議と協議書の作成

相続人間で遺産の分割について協議し、合意が得られた場合は、協議書を作成します。

協議書には、分割の内容や相続人の同意が記載されます。

分割方法の決定

遺産分割の具体的な方法を決定します。

先に述べたように、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割などの方法があります。相続財産の種類や相続人の状況に応じて適切な方法を選択します。

名義変更手続き

最後に、遺産分割が完了したら、相続人が適切な名義変更手続きを行います。これには、不動産登記簿への登記変更や銀行口座の名義変更などが含まれます。

以上が、遺産分割の手続きの基本的な流れとなります。

円滑な遺産分割手続きを進めるための4つのポイント

ポイント

円滑な遺産分割手続きを進めるためには、以下の点に注意することが大切です。

早めに話し合いを始める

相続発生後できるだけ早い段階で話し合いを始めることが重要です。

遺産分割協議には時間がかかることが多いです。早めに行動することで最適な方法を検討する時間が確保できます。

相続人全員の意見を尊重する

遺産分割は、相続人全員の合意が必要となります。

そのため、各相続人の意見を尊重し、話し合いの中で妥協点を見つけることが大切です。

専門家のサポートを活用する

遺産分割は、法律や税務に関する知識が必要となるため、専門家のサポートを活用することをおすすめします。弁護士や税理士などの専門家は、遺産分割に関するアドバイスや手続きの代行を行うことができます。

感情的にならず冷静に話し合う

遺産分割は、被相続人の死というデリケートな問題に関わるため、感情的になりやすいものです。しかし、冷静に話し合うことが円滑な手続きを進めるために重要です。

感情的になり、遺産分割がまとまらないと裁判になり、多額の費用が発生することにも繋がります。また、相続税申告もできず、多額の罰金が発生する可能性もあります。

まとめ

遺産分割とは誰が何を取得するかを決める重要な手続きです。遺言書の有無で方法が大きく異なり、相続人全員の合意が必要なケースが多くあります。

手続きを円滑に進めるには、遺言書の有無と内容の確認、複数の相続人がいる場合は全員の協力が不可欠、話し合いがまとまらない場合は専門家に相談することが重要です。

税理士 森大輔
税理士 森大輔

相続に遺産分割は必須です。
当事務所でも可能な限りサポートいたします。

よくあるご質問

Q
遺言書の確認はなぜ重要ですか?
A

遺言書がある場合、その内容に従って遺産分割が行われるため、相続人間での協議が不要になります。また、遺留分といった法定相続分の侵害を防ぐためにも、遺言書の確認が必要です。

税理士 森大輔
税理士 森大輔

遺言書には故人の想いが書かれていることもあります。
想いを大事にする分割も良いのではないでしょうか。

Q
遺産の把握には何が必要ですか?
A

遺産の把握には、相続財産を正確に把握するために財産目録の作成が必要です。

これには、不動産なら名寄帳、預貯金・有価証券なら通帳など被相続人が所有していた財産を探すことが必要です。

Q
遺産分割協議書は何のために必要ですか?
A

遺産分割協議書は、相続人間での協議内容や合意を記録した書類です。協議内容や合意事項が明確に記録されることで、後々のトラブルを防ぐことができます。相続人全員の同意が得られたことを示す重要な証拠となります。

Q
遺産分割の方法はどのように決定されますか?
A

遺産分割の方法は、相続財産の種類や相続人の状況に応じて決定されます。現物分割、代償分割、換価分割、共有分割などの方法があります。適切な方法を選択するためには、相続人間での協議や専門家の助言を得ることが重要です。

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